第八十二世宣譽龍海台下晋山式
- 清浄華院第八十二世宣譽龍海台下晋山式が厳修されました!!
去る9月30日、浄土宗大本山清浄華院第八十二世 宣譽龍海台下晋山式が挙行されました。
昨年12月、第八十一世法主・伊藤唯眞台下(当時)の知恩院上任に伴い、第八十二世法主として真野龍海台下が清浄華院にご入山されました。当初晋山式は本年3月に行われる予定でしたが、東日本大震災の発生により9月30日に延期、当日荘厳謹厳の下、厳修されました。
各総代本山の猊下・台下をはじめ、内外の諸大徳、並びに関係各位のご臨席を賜り、皆さま方のご支援ご協力のお蔭を持ちまして、荘厳なる法要を無事円成することができました。篤く御礼申し上げます。
今後とも一同心新たに寺門興隆に努めて参りますので、ご指導ご鞭撻のほどを宜しくお願い申し上げます。
合掌
- 伝衣作法の復興
この度の晋山式では、江戸時代まで行われていた「伝衣(でんね)作法」が復興されました。
記録に依れば、清浄華院では第十世法主佛立恵照国師等凞上人所用の袈裟を「伝衣」とし、この袈裟を晋山式の法要中に新法主がまとう、という儀式が行われていました。
歴代の住持が伽藍と法統を受け継ぐ証として伝えられるのが「伝衣」であり、清浄華院では室町時代に活躍した第十世法主・等凞上人の袈裟が伝衣として伝えられてきました。
この袈裟は九条袈裟で、布地には当時大変貴重であった舶載品の「羅(ら)」「羅金襴」を用いており、称光天皇や室町幕府六代将軍・足利義教公の帰依を受け、隆盛を極めた室町時代の清浄華院の繁栄と格式を伝える袈裟であります。
浄土門主・知恩院門跡伊藤唯眞猊下が清浄華院法主としてご在任されていた当時、この袈裟の復原をご発願され、法然上人八百年大遠忌の事業の一つとして、西陣織の老舗川島織物セルコンに製作を依頼されました。
ところが「羅」を織る技術は現在殆ど途絶えており、技術の解明や復原には時間と手間が掛かりました。また織り始めてからも熟練の職人が一日に数センチしか織れない、という難しさであったと言います。特に「羅金襴」は貴重であり、他の織物業者も研究の為に独自に復原されたりしています。
今回の晋山式の「伝衣作法」では、この復原された袈裟が使用され、古式に則って誦経中に台下がおまといになりました。これによって本山の伽藍と法統が真野台下へ継承されたことになります。
当日は等凞上人寿像(絹本著色 室町時代)を大前にお掛けし、等凞上人が実際に着られたと考えられる室町時代の袈裟もお飾りいたしました。また、江戸時代の記録に見える、大前机に法然上人所用の袈裟と『選択集』をお飾りするという作法も復興し、元祖法然上人と歴代の上人に見守られながらの晋山式となりました。
- 宣譽龍海台下晋山式の様子
(2011.10.2)